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お店の二代目・三代目

その4 とらや椿山

とらや椿山 (阿佐谷パールセンター商店街)

二代目:坂井益夫さん
三代目:坂井潤さん

2015年08月01日(土)

阿佐谷パールセンター商店街の中程、老舗「とらや椿山」があります。大正14年に先代の寅三郎さんが阿佐ヶ谷駅前に「和菓子」の店を開きました。当時の屋号は「虎屋」で、近隣の寺社のお祭りやお茶会への「納め菓子」を一手に引き受けていました。先代は阿佐谷の「まちおこし」に大変熱心で、パールセンター商店街の「歩行者天国」を都内で初めて実現させ、中杉通りにケヤキを植えるように勧めた人物でありました。ニ代目・坂井益夫さんは学生時代から、先代や職人さんから和菓子造りの手ほどきを受けて技術を習得、店を任された時に屋号を変えることにし、「虎屋」を「とらや」に、先代の俳号『椿山』を付して「とらや椿山」としました。二代目は昭和61年度から平成2年度にかけて、当協議会の副会長・会長を務められている我々の大先輩でもあります。

「とらや椿山」には名物『大栗まん』(写真)があります。この商品が出来たきっかけは、昭和43年(1968年)頃に流行ったテレビCM、山本直純の「♪大きいことは~良いことだ~」にヒントを得て、『栗まん』を大きくして発売したところ大当たり。いまだに「とらや椿山」の名物商品として売れ続けているそうです。

三代目・潤さんは、現在(取材当時)パールセンター商店会の理事を務めるなど商店会の振興にも力を注いでいます。三代目は高級和菓子店を維持することは、伝統を守るだけではなく、新しい試みにチャレンジすることが生き残るカギであると考え、店舗販売のほかに高級スーパーに高級和菓子を卸し、国会議事堂内の売店に「歴代首相漫像饅頭(似顔絵饅頭)」をアイデア商品として提供し好評を得ています。また和菓子への関心を持ってもらうため、近隣小学校の課外授業として、和菓子工房を「和菓子造り体験コーナー」として開放し、人気のイベントとなっているそうです。まちづくり、絆づくりに熱心であつた先代、二代目にひけをとらない三代目であると感じました。

(平成24年11月1日発行の第254号に掲載)

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