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お店の二代目・三代目

その15「社会を支える職人魂を見る」

阿佐ヶ谷製作所 (阿佐谷北松山通り親交会)

二代目:岡村宣勝さん
三代目:岡村泰志さん

2015年08月01日(土)

建具屋さん「(有)阿佐ヶ谷製作所」は、社名の通り阿佐谷のど真ん中、早稲田通りと中杉通りの交差点から少し南に下がつた4階建てのビルにオフィスを構えています。昭和4年に三重県から上京した宣勝さんのお父さん岡村誓吉さんが「岡村建具店」を阿佐谷北6丁目に創業。戦争により同業との統合が進められ「合同阿佐ヶ谷製作所」として、現在の「平和湯」を工場にして仕事をされていたとのこと。昭和22年に合同解散、誓吉さんが阿佐ヶ谷製作所の名称を引き継ぎ独立、昭和51年に誓吉さんが逝去され、二代目の宣勝さんが代表となり今日に至っています。

近年、大工さんに注文する個人住宅は皆無に近く、建具もユニット化が進むなど、建具業界の市場は様変わりです。同社は、建設会社・内装業者と連携して、商業施設向けの高級で重量感のあるドアなどの注文建具を製造・販売しており、銀座のルイヴィトンや和光などにも納入しているとのことです。

二代目の宣勝さんは、東京建具協同組合(組合員約200名)の理事長という要職にあり、業界のまとめ役として、広く我が国の木工関係の発展に尽力され、又、東京建具高等職業訓練校校長も兼任、業界の技術伝承と向上に努力されています。又、杉九小、東原中卒業ということで、若い頃から地元のボランティア活動にも熱心に取り組んでいます。5年前からは、地元自治会「阿佐谷北松山通り親交会」の会長として、地元発展のため尽力されています。さらに、毎年9月中頃には阿佐谷神明宮の祭礼に親交会として合同神輿パレードに参加し、町内の結束を図っています。

専務としてご活躍中の三代目・泰志さんは、大学卒業後すぐに家業に就いた経験20年のベテランで、二代目がいつでも後を継いでもらえると全幅の信頼を寄せています。二代目と同様に、次代を支える職人の育成にも大いに力を発揮されることを期待したいものです。

最後に工場内を見学、暑い中を黙々と作業されているのを拝見して、「日本の素晴らしさは、このような職人芸が、苦労しながらも様々な分野で社会を支えているところにある」と改めて実感しました。

阿佐ヶ谷製作所b

(平成26年9月1日発行の第265号に掲載)

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